2010年09月21日

せん妄

いよいよ、見送りの時間が近づいています。
今日から家族は病院に泊まり込みとなりました。
父親の状態は、痛み止めを飲み薬から静注にシフトし、さらに眠りやすくなる薬を投与することによって、かなり落ち着いてきました。
ただし、もう食事を摂ることも水を飲むこともできません。
スプーンでお茶を少しだけ口に含ませてあげるのが精一杯な状況です。
まぁ今となっては、本人の苦しみをどれだけ和らげてあげられるかが一番重要ですから。

さてさて。
昨日、『せん妄』という言葉を使いましたが、これは別に終末期の人にだけ起こるわけではなく、例えば大きな手術の後などにも良く見られる症状(?)だそうです。

かく言う父親も、三回目の手術の後、ICUに数日入ったのですが、そこで同じ様な状態になりました。
こういう場合は、身体の回復と共に何事もなかったかの様に普通に戻りますので、あまり心配はないのですが、それを知らなかった私はかなり面食らいました。
後日、これは本人共々笑い話となりましたので、ここで少し紹介したいと思います。
 
術後、ICUに入ってしばらく人工呼吸器などのお世話になり、ようやく自発呼吸ができるようになってから一般病棟に移った時のことです。
私が病室に入ると、父親が携帯電話をいじくり回しています。
その時の目つきが、なにやら異様な感じでした。
そして私に気付くなり「電話をしろ」とせがみます。
「どこに?」と聞くと、「花火がうるさい」と。
もちろん、花火なんかどこもやってないんですよね。
その後、断片的に話を聞いているうちに、どうもどこかの妙な宗教団体が病院に向けて花火を打ち込んでいるから、それを止めさせてくれと言っているらしいんです。
この話には後で尾ひれが付いて、私がその宗教に入信していることになっていました。

あとは、「岡山空港で飛行機が墜落して、この病院にも多数のけが人が運び込まれている。」とか「振り込め詐欺にやられて財産を全部失った。」とか。
ともかく荒唐無稽な話を次々としてくるので、こっちは「身体が治っても頭がこれでは…」と、たいそう心配になりましたよ。
主治医に話すと、「よくあることです。すぐ元に戻ります。」と言ってくれたのでちょっとは安心しましたが、実際、本当に元に戻るまではかなり不安でした。

この妄想話、実は本人も覚えていて、後日「あの時は、わしゃどうかしとった。」とよく話題に上りましたね。
父親の場合、元々知識があるので、妄想にしても妙に理論立っていたりリアリズムがあったりして、話としてはなんだか面白いんですが。
そうそう、「北朝鮮が攻めて来た。お前は戦争に行かなくて良いのか!」ってのもありましたね。

今後、同じ様な経験をされる方がいるかも知れませんが、別に心配は要りませんよ、ちゅーことで。
posted by Kei at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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